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- 【育児情報コラム】療育って知っていますか?
元児童指導員のママメイトによる
育児情報コラム
「療育って知っていますか?」
みなさん、こんにちは!
ママメイトで、小学1年生男の子のママ、REIKOです。
私は、結婚する前は、知的障害児入所施設の児童指導員をしていました。
知的障害児入所施設とは、様々な理由で家族と一緒に生活するのが困難な知的障害のある児童が生活するところです。
そこでの保育士や児童指導員の主な仕事は、児童への療育支援でした。
ところで、みなさんは、「療育」って知っていますか?
「聞いたこともない」とか「聞いたことはあるけど、よく知らない」という方が多いかもしれませんね。
療育って何?
療育という言葉は、高木憲次先生(昭和17年当時、東京大学教授)が提唱しました。もともとは、肢体不自由のあるお子さんが療育の対象だったそうです。
高木先生の療育の定義をもとに、「療育とはなにか」の著者、高松鶴吉先生は、次のように定義しています。
「心身に障害のある児童に対して可能な限りの回復と発達の促進を図る、組織化された総合努力」
上の図は、高松先生が説明する療育について、私なりに解釈した療育のイメージです。
治療と教育、治療と保育、2つの円、または3つの円が重なる部分が療育だと私は解釈しています。
また、療育は、医療と教育と福祉が連携して支援することが望ましいと思っています。
そして、私が児童指導員として実践してきた療育とは、
①その子なりの自立を目指す
②その子の好きなことや得意なことを活かす
③その子の苦手なことが負担にならないような関わり方の工夫をする
④科学的な理論に基づく各種療法を利用する
⇒その子や周りの人の困り感が軽減される
というものでした。
以上のことから、療育は、障害や発達の遅れや偏りなどから生じる困り感を軽減するためのトレーニングとサポートと言えるでしょう。
視力が悪い場合、メガネやコンタクトレンズが必要なように、発達の遅れや偏りがある場合は、療育が必要なのです。
そして、現在では、身体障害や知的障害がなくても、発達障害や学習障害のあるお子さんや、発達の気になるお子さんも療育が受けられるようになりました。
療育を受けるきっかけは?
療育を受けるきっかけは、1歳半や3歳児健診であることが多いようです。
また、健診の段階では、特に気になることはなかったお子さんでも、幼稚園・保育園に入園後や小学校入学後に園や学校から療育を勧められる場合もあります。
たとえば、
●言葉や運動の発達の遅れがある
●おしゃべりはたくさんしているが、言葉の意味の理解が乏しい
●目が合いづらい
●特定の音をひどく嫌がる
●歯磨き・シャンプー・ヘアカットなどをひどく嫌がる
●先生がクラス全体に声かけをしただけでは、指示された行動ができない
●授業中に座っていられず、立ち歩いてしまう
●ちょっとしたことで怒って友達を叩いてしまう
●忘れ物が極端に多い
●手先が極端に不器用
などが理由になると思います。
療育の種類と効果は?
療育には、科学的な理論にもとづいた様々な療法があります。
●言語療法
●理学療法
●作業療法
●感覚統合法
●音楽療法
●行動療法(応用行動分析、ABA)
●TEACCHプログラム(自閉症の療育支援プログラム)
●ソーシャル・スキル・トレーニング
などです。
※これらの療法を両親が学んで家庭で実施する家庭療育もあります。特に、ペアレントトレーニングの「環境を整えて褒めて育む」スキルを両親が身に付けると、親子の関係がより良いものになると言われています。
お子さんそれぞれの目標にどんな療法を利用するかによって、その効果も様々です。
療育の実践例①
自閉症スペクトラム障害やその傾向があるお子さんは、耳からの情報より目からの情報の方がキャッチしやすい(視覚優位)場合が多いです。そのため、声かけだけでは、話が通じない場合があります。
たとえば、「引き出しから靴下を出して」と声かけするだけではできなくても、靴下がある場所に写真カードや絵カードや文字を貼る方法【TEACCHの視覚的構造化】で、できるようになる場合が多いのです。
療育の実践例②
障害がない場合でも、自分の思いどおりにならないと癇癪をおこして大泣きするお子さんもいますよね。
「お菓子を買って欲しい」⇒泣く⇒買ってもらえる
という経験をすると、泣けば思い通りになるという誤った学習をしてしまいます。
「お菓子を買って欲しい」⇒泣く⇒買ってもらえない⇒泣いても無駄とわかる
お手伝いをする⇒おこづかいをもらう⇒おこづかいをためる⇒お菓子を買う
というように、正しい行動を褒めて定着させるという方法【ABAの強化】は、どんなお子さんにも効果的だと思います。
療育はお子さん一人一人に合わせた関わりをするので、発達に心配のないお子さんにとっても、本人の良いところを褒めて伸ばすことができて、良い変化につながると思います。
お子さんを療育に通わせているお母さんたちの中には、「子どもとの関わり方を学ぶことができる。子育てへの意識が変わり、前向きになれた」と言っている方もいらっしゃいます。
もし、みなさんのお子さんに、発達の遅れや偏りなど、気になることがある場合は、療育の専門家に相談することをお勧めします。
ママがひとりで悩まずに、早めに療育のサポートを受けることができれば、不安が安心に変わるのではないでしょうか。
埼玉県内で療育を実施している主な機関
(1)埼玉県地域療育センター
(3) 児童発達支援(就学前)・放課後等デイサービス(就学後)を実施する事業所
●埼玉県指定施設・事業所一覧の「児童発達支援」または「放課後等デイサービス」参照
●さいたま市障害者(児)指定事業所等一覧の「児童発達支援」または「放課後等デイサービス」参照
●川越市障害児通所支援についての「児童発達支援」または「放課後等デイサービス」参照
●和光市障害福祉サービス事業所一覧の「児童発達支援・放課後等デイサービス」参照
【参考資料】
●高松鶴吉「療育とはなにか」(ぶどう社)
●「発達障害 あんしん子育てガイド 幼児から思春期まで」(小学館)
●Droplet Project
●療育とは何か – 意味と効果|LITALICOジュニア-発達障害・学習障害の子供への教育・支援
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